田嶋要「メガソーラー、風力発電の新しい法律が必要」

地域に反発を呼ぶようなメガソーラーは作らせるべきではない

2022年3月8日、衆議院環境委員会より。

田嶋要(立憲民主党)
これは本当に頭の痛い話で、先だって予算委員会でも取り上げさせていただいて、質問の後、自民党の先生方からも激励いただきましたけれどもね。
とんでもないメガソーラー。どうも環境省もどこもかしこも腰が引けているような感じがしてならないし、現場に丸投げをしているんじゃないかという感じがいまだにいたします。
そこで大臣所信の中で地域に貢献する再エネとおっしゃいました。わざわざ地域に貢献する再エネというからには地域に貢献していない再エネもあるはずです。
どういうものがそういうものになりますかね。というお考えですか。

山口壯(環境大臣)
今、予算の方でも地域脱炭素に関する再エネ推進交付金200億円。それの気持ちとして脱炭素と地域の町おこしとの両立を図る、そういう再エネを想定しています。
そういう意味ではいろいろと地元でもって、いや、この場所でメガソーラーは辛いなというような事例も聞き及びます。私自身も身の回りで、この山削られてはちょっと辛いなと。

では、それをどういう風に対応できるのか、そういう意味では今の法律の枠組みの中で、いろいろとみんな工夫しているわけですけれども、やはり地域との合意形成を丁寧にやっていただくというところが一つの大きなポイントだと思います。

先般、埼玉県のあるプロジェクトについて、私自身は抜本的な計画の見直しという意見を出させていただいたわけですけれども、そこにおいても地域との合意形成が不十分に見えたものですから、それから、また盛土についても不必要なものも非常に計画の中であったものですから、意見を出させていただきました。
そういうものもあるというふうに承知しています。

田嶋要
もう誰が考えても当たり前のことで、地域に反発を呼ぶようなメガソーラーは作らせるべきではない。そういうことは自明だと思います。

ドイツでは、例えばこういう地域の紛争はほとんど起きていないという報告も聞いているんですね。これ(日本の再エネ問題)は世界中共通ではないかもしれない。
日本にいろいろ問題があるからこういうことになってしまっているのではないか。私はそういう思いが強くあります。

そこでお尋ねしますけれども、全国でトラブルとなっている太陽光発電。現在の環境影響評価法の対象になっているケースというのはどのぐらいの割合がありますか。報道ベースでも結構です。

中川康洋(環境大臣政務官)
お答えいたします。
太陽光発電所について環境変化影響評価法の対象事業への追加を検討した際のデータになりますが、太陽光発電に係る問題事例を平成28年1月から平成30年7月にかけて調査いたしましたところ、69件の事例があり、うち敷地面積が判明したものは52件でございました。このうち、環境影響評価法の第一種事業に相当する面積100ヘクタール以上のものは13件であり、割合としては約25パーセントでございます。
以上でございます。

これからのメガソーラーは、やりたい放題ではない

田嶋要
お配りした資料の1をご覧いただきたいと思います。
右側の円グラフでございますが、今おっしゃったとおりですね、アセスに太陽光を入れましたとおっしゃるんですけれども、25パーセントしか対応できていないんですよね。だから75パーセントに関してはいまだにトラブルが続くんですよ。

25パーセントに関してだってね、もう先に動き出しちゃっている。私の地元の賀茂川の方でも、ものすごいでかいのがあるんですよ。4万どころじゃないですよ。もっとでかいです。それそれだって止められないんです。遅いから、アクションが。
だけれども、残りの75パーセントは未だにマニュアルができたとは言っても、強制力が働いていない。そういう状況では本当にダメだと思います。

それから今、そういう、マスコミベースの報道がありましたけど、ぜひ提案ですけどね。これ、一度政府で全国紙かなんかに打った方がいいと思いますよ。それぞれの自治体が苦しんでいて、条例を作ったって間に合わないケースがたくさんあるんですよ。静岡県の伊東市だってそうだったしね。

だから、一度国が本気になって全国のこういうケースは止めさせるんだということを訴えて、私はいただきたいと思いますよ。それぞれの自治体の予算を節約する意味でも、全国ベースのそうした訴えかけを新聞でも何でも結構ですけれども、ぜひ考えたいと考えていただきたいというふうに思います。大臣いかがですか。

山口壯
ぜひ田嶋議員のおっしゃられる提案を実行させていただきたいと思います。

これまでも環境省では自治体や業界団体に対して、アンケートをしたことはあります。情報収集や意見交換を緊密に行って、地域の再エネの実情の把握に取り組んだことあるわけですけれども、今おっしゃっていただいたような形で、今のタイミングでやるということも非常に大事だと思います。

先般の私自身のこのアセスメントについて計画の抜本的見直し、これもかなりの私はメッセージになったと思いますけれども、この際、またアンケートも考えさせていただいて、やはりそういう意味では、これからのメガソーラーのプロジェクトというのはやりたい放題ではないぞというところを発信させていただきたいと思います。

これから増えてくる風力発電のトラブル

田嶋要
ぜひお願いします。前向きに今、言っていただいたので、すぐ実行していただきたいと思います。
これはマスコミベースでしか情報が入られないのは良くないですよ、政府に。だから自治体おそらく目の前にとんでもない工事が突然始まったという住民の皆さん戸惑っちゃって、どこに行ったらいいかよくわからないけれども自治体には電話するんでしょうね。
しかし、自治体でわかっていても、これが全国ベースでしっかり同じリアルタイムで把握できるように、ぜひ環境省はもっと現場で困っている方々に寄り添っているんだという姿勢をそういう施策で打ち出していただきたいと思います。
しかし、それは同時に再エネを悪者にしないという意味でも大事なんですよ。主力電源にしていくんだから。だからそのことをしっかり強調していただきたいというふうに思っております。

答弁結構でございますけれども、これでもう1点は、先ほどの笹川先生のご指摘もありましたけれども、これから風力発電は増えますから。だからメガソーラーはピークを打っているかもしれないけど、風力発電もトラブル増えますよ。もうすでに来ていますからね、沢山。

そういうことを考えても、今からでも遅くない。メガソーラーのトラブルケースだけではなくて、風力発電も同じように含めたそういった住民への訴えかけをぜひやっていただきたいと思います。

それでは次の質問でございますけれども、これはアセスの話をいろいろしておりまして、強制力をもっと持った環境アセス、前回予算委員会で福島先生もやられておりましたけれども、マニュアルというものには強制力がない。そういうのは無理なんですが、つまり、完全に強制力。止めさせる強制力を規模の大小にかかわらず持っているアセスという法律はできないのかどうか。

話を役所から聞いていると、大規模なものを前提とした環境アセス法がスタートしているから、やはり(対象事業は)一定の規模以上にしなきゃいけないみたいな、柔軟でない発想されているような印象なんですけれども、そもそもアセスだけでは無理なのかなという感じもしているんですが、そこはどう考えていますか。

山口壯
いろいろな事例があるということの把握については、今年の4月には各地方環境事務所において地域脱炭素創生室を設置する予定です。
そういう意味では、トラブル事例についても積極的に情報収集を図って、先ほどおっしゃっていただいた風力発電についても、いろいろなケースが出てくると思いますから、そこは充実させていきたいと思います。

そしてまた、環境影響評価法に限界があるんじゃないか。という今のご指摘ですけれども、そういう意味では、この環境影響評価法アセスメント結果を事業の許可等の審査に反映させて、環境配慮の実効性を確保するものだと。
太陽光発電事業については、電気事業法の特例に基づいて、経産大臣が審査を行って、アセスメント結果の変更命令、あるいはアセスメント結果に従っていない工事計画については変更・廃止命令を出すことができる仕組みではあります。

他方、今おっしゃっていただいたように、この面積100ヘクタール以上を第1種、あるいは75ヘクタールを第2種事業ということで、これは他の事業との公平性の観点を踏まえて、法によってその土地区画整理事業などとの比較でもってそういうふうにしたわけですけれども、そういう意味では、それよりさらにこの小さいものについては地方自治体が条例でもって対象とされていると。だけど、これもやはり限界があるわけですね。

そしてまた、法令や条例の対象とならない小規模な事業についても、環境省的にはもちろんガイドラインをつくっているわけですけれども、こうした点はあろうかと思います。ただ、これからどういうふうにバランスを図っていくか、適正な環境配慮、あるいは地域の合意形成の確保、あるいは再エネ導入の必要性、そういうことのバランスを図るということがあると思います。

経産大臣ともいろいろとまた連携をとりながら、制度的対応の必要性、については検討を深めていきたいと思います。

メガソーラー、風力発電の新しい法律が必要

田嶋要
委員予算委員会でもうすでに検討ということをおっしゃっているので、そろそろ結論を出してください。

他の事業とのバランスとおっしゃったって違う事業なんですよ、これは。同じようにしなきゃいけないって考えるところが、私はよくわからないんですよ。
これは福島先生も強調されていたけどね。メガソーラーはメガソーラーなんだから。工場を建てて、そこで人が働いてという話とは全然違うわけですよね。
対応が違うんだから、それを同じ基準でやろうとする方が、私は無理なような気がするんですよね。

非常にアセスに関しては限界を感じますが、いつまでも検討せずに、しっかりと全国の国民が安心する法制度、新しい法制度。今ある法制度に加えたから、こういう窮屈なことになっているので、新しいメガソーラー用の陸上風力用の法律の立法を考えてください。それをお願いしたいと思います。

ただ、私はアセスだけでは足りないか。という風に思っておりまして、次の質問でございますけれども、これは先だっての温対法で促進区域というのを作りましたね。これは作る時から私はちょっと違和感があったんですが、促進区域ということは促進区域じゃないところでも作れちゃうということでいいですか。

大岡敏孝(環境副大臣)
田嶋議員にお答えします。
促進地域ということは、即ち促進地域ではない地域におきましても、その他の法令をの要件を満たせば作れるということでございます。

ネガティブゾーンの議論が不十分

田嶋要
結局、私は環境省が促進区域をつくったことは悪いことではもちろんないと思いますが、しかし、冒頭に申し上げました地域に貢献する再エネではないものを排除する力は、その促進区域にはないということを、今、副大臣はを認めになられたわけであります。

これは先ほど引用いたしましたドイツの事例なども、トラブルがほとんどないという一考察でありますが、大学の研究者がそうしたことを研究されているという報告も私も文書を読んだわけでございますけれども。その背景にはですね、ドイツは基本、全国土が勝手にいろいろ造作物を作っちゃいけないというのが前提なんです。

まず、全面的にネガティブゾーンなんですね。その中に認めたところは、OKというポジティブゾーンをつくっていく、そういう手順を踏んでいるということで、これはゾーニングという考え方自体、もともと日本にはなくて、私もこのエネルギーの分野を研究する中で、7、8年前ぐらいですかね。
5年ぐらい前ですかね。ドイツ方式のゾーニングというのが、将来日本も必要じゃないかなと思っていました。だから法案の中に入ったのはよかったんですが、非常に中途半端な印象を持っておるんですね。
そして、その京都大学だったかの論考を読みまして、やはりドイツはそういうことだったんだということを、改めて。
ドイツだけが正しいわけじゃもちろんありませんが、今これだけ日本の国民が苦しんでいるものに対して、ネガティブゾーン。ポジティブではなくてネガティブのリスト。ネガティブゾーンということでアプローチしていくそういう制度設計は考えられなかったんでしょうか。

大岡敏孝
田島委員ご指摘のとおり、現在の考え方ではそのような考え方にはなっておりません。
残念ながら、そこが現在の温対法の限界でございまして、今後そのネガティブゾーン、まず全域ネガティブゾーン化してポジティブゾーンを指定していくという考え方は当然、考え方としてはありうることでございますので、今後この国会の議論も含めてご議論いただければありがたいと思います。

田嶋要
温対法の改正をなさったときに、ポジティブゾーンという言葉が出てきましたけど、ネガティブゾーンという考え方は議論の俎上にのったんですか?

大岡敏孝
残念ながら私、当時は副大臣の職ではございませんでしたので正確な答弁ができないんですが、少なくとも現行の温対法ではそのような立て付けになっておりません。

田嶋要
比較考量してネガティブゾーンという手法をやめようという議論が行われたのかという質問なんですけど。

地球環境局長
お答え申し上げます。
制度設計、国会審議の前に有識者会議における議論も行っております。
ここでも先生から指摘がございましたゾーニングについての議論というのがございましたけれども、ただ、現場の温対法ということを前提にして考えますと、その土地利用を規制するというアプローチではなくてですね、再エネを促進するというアプローチ、今、制度上、そちらの方が適当であろうということで、必ずしもネガティブゾーニングを進めるべきという議論にはなりませんでした。

また、国会の審議におきましても禁止区域を設定すべきという指摘も確かにいただいております。ただ、この温対法の制度の趣旨。促進するという趣旨をご説明した上で、いかに市町村の促進区域の設定に当たる環境保全を適切に図っていくかという観点から議論が行われております。

ネガティブの方につきましては、そういうことでも温対法では最終的には難しいというご説明申し上げましたけれども、例えば森林法などの法律。あるいは条例による土地利用規制。さらにはこうした関連法令をFITの認定基準とするなどの事業規律強化というアプローチも別途とられておりますので、そういうものとの合わせ技でその地域に貢献する再エネを促進し、そうでないものは抑制するということだと思います。

トラブルが起きない法制度が必要

田嶋要
合わせ技をして、全部、帯に短したすきに長しなんですよ。
だから今みたいな状況が延々と続いている。
もう長年やっていますよ、本当に。
本当に申し訳ないという気持ちがあります。

今、温対法の趣旨からしてネガティブゾーンはそぐわないって、どういうことなんですかね?
いやいや、だから推進する法律だからブレーキをかける内容は入れないという意味でしょ?たぶんね。
だけどだから最初に確認したんですよ。わざわざ大臣がご自分でペンを入れた所信で、地域に貢献する再エネって言ってるじゃないですか。

再エネというのは全部地域に貢献するわけじゃないんですよ。
地域に貢献する再エネを広げるという、おっしゃるとおり。
おそらく、その含意はまずいのもあるということでしょう?
みんな自然の中につくっていくことが多いんですから。だからその部分に関して、悪いものは悪いって止まるようにすることが、まさに温対法の推進する趣旨じゃないですか。
そこをもっと色分けきっちりしてほしいと私は思いますよ。

理論上ゾーニングができない根拠が何か、憲法違反になるとかね、そういうこともあるのかわかりませんけれども、ドイツはやれているんだから!トラブルがほとんどないと言っているんだから!
日本はなんでこれだけトラブル続いているのに止まらないんですか。
もう一度ちょっとゾーニングに関してね、今回も法案改正あるような話も聞いてますけども、いかがですか大臣今の話を聞いて。
ちょっと中は役所の温対法の趣旨からしてネガティブは検討せずポジティブでいきましたって、何か説得されませんよ、私は!
どうですか。

山口壯
今、田島議員の議論から私も学ばせていただいているわけですけれども、ドイツでは全体をまずコントロールして、その中でOKのところを選んでいくと。日本でも最近、土地に関しては外国資本がいろいろ入ってきて、水を求めて入ってくるとか、あるいは基地の近くの土地を購入して、そのことに対して、安全保障的にもいろいろと考えるべきことがあるんじゃないかとか。
我々もそういう意味では、土地をある意味で自由に買っていいと、あるいは自由に使っていいという議論から卒業しようとしているんじゃないかとは思います。

他方、これはいわゆる所有権制度みたいな話も関わってくることでしょうから、そういう意味では、私はある程度の今の議論の流れが正しいとは思いますけれども、今、局長の方からお答弁申し上げたようなかたち、温対法の趣旨というのはむしろその温対法を超える部分が関わっているからということで、私は受け止めさせてもらいましたけれども、やはり今、田島議員のおっしゃっているようなドイツのやり方は相当全部に網をかけて。

要するに、今度は禁止区域を今度定めるとなると、何で、ここが禁止区域だという説明。何でここに境界がここを入るんだという話も、いろいろとあるんだと思います。
そういう意味では、所有権に関わる話とは言いながらも、今の御趣旨というのは私もよく理解するところですから、少し検討させてください。

田嶋要
おっしゃる通り、長年の日本の国土をどう利用していくかというね、そうした大きな中のひとつとして、この問題が今、顕在化しているんだろうというふうに思うんですが、
私は(これまの日本の考え方が)あまり賢くなかったんじゃないかなというふうに勝手な判断ですけれども、土地利用というか、都市計画というか、ちょっと彼我の差を感じるものです。

是非しっかりと、トラブルが起きない法制度を考えていただきたい。
それで平地面積あたりのメガソーラーは世界一だとか、最近そういう宣伝でよく聞きますけどね、やれるところはまだいくでもあるんですよ。グーグルアースのマップを見てくださいよ。ほとんどソーラーなんて張られていないんだから。
屋根の上なんて誰にも迷惑かからないですよ、基本的に。
それからこの間JRが電車の線路の横にやったら、原発1基分以上作れるとかで新聞記事はありましたけれど。高速道路はどうなっているんですかとかね。やれるところは沢山ありますよ。
さっきのペロブスカイトが出てきたら、もうデンマークなんか縦の壁にソーラー貼ってるんですから。
やれることはたくさんあるんですよ。
そういうことをやらずして、何かこの間、どなたか大臣がおっしゃっていましたよね。小学生でもわかる、自然破壊しながら何が自然ソーラーだとふざけんなと。当たり前の話ですよ。
そういうことをやめるようにしましょう。そこをしっかりやらないと、最大限の(再エネ)拡大はできないと、私は改めてお願いしたいというふうに思います。

衆議院インターネット審議中継、2022年3月8日、田嶋要(立憲民主党・無所属)