坂本祐之輔「乱開発に対する改善指導、および認定の取り消しを確実に行うことが必要」

憂慮に堪えない、地域住民の声を無視した乱開発

2022年3月10日、衆議院地方創生特別委員会 より。

坂本祐之輔(立憲民主党)
太陽光発電整備の乱開発と規制について質問します。
2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されたのを契機として、太陽光発電の普及が進んでいますが、地域によっては土砂流出や濁水の発生、景観の影響、動植物の生息、生育環境の悪化などの問題が生じております。

気候危機打開のためには、温室ガスを排出しない再生エネルギーの活用が不可欠です。しかし、一部の大手事業者などによって地域住民の声を無視した発電施設の建設が全国各地で行われていることは、まことに憂慮に堪えないところでございます。

特に危惧していることは、事業者にメンテナンスや発電管理体制の確保などが実際に行われているのか、解体時の処理の責任や、事業を中止などによる放置や不法投棄を防ぐことができるのかという問題です。

子々孫々に美しく豊かなこの郷土を残していくことは、我々の務めでもあります。
この点に関して、政府はどのように考えているかお伺いいたします。

茂木(資源エネルギー庁)
今、委員からご指摘がございましたとおりですね。再生可能エネルギーの導入拡大に伴いまして、景観への影響ですとか自然災害、それから将来的な設備の不法投棄に対する地域の懸念。こうしたものが生じてきているということでございまして、今後、再エネを最大限拡大していくということになりました。

こうした地域の懸念にしっかりと向き合って、地域と共生を図りながら導入を進めていく必要があるというふうに考えています。

このため、再エネの特措法、これは固定価格の買い取りの仕組みを決めている法律でございますが、この中で発電事業者に対しましては発電所を設置する自治体が定めた条例、例えば安全性をしっかり確保せよとか、あるいは地域とのコミュニケーションを取れとこうした条例をしっかり遵守することを求めておりまして、違反があれば、指導・改善命令を経た上でですね、認定を取り消すこともできる、こういった仕組みになっております。

また、地域とのコミュニケーションを促すという観点では、各地域の条例などの情報を自治体間で共有して、自治体がこうした対処を円滑にできるように支援をしたり、あるいはFITの認定申請が出てきますが、こうした申請情報をプッシュ型で自治体に提供することでコミュニケーションを促していくとこうした取り組みを進めています。

それから安全性の確保についてもご指摘がございましたが、事業用の太陽光の発電設備にはですね、電気事業法に基づく安全基準への適合維持義務というのが課されております。保安管理の責任者のもとで定期的な点検を義務づけておりますので、こうした措置をしっかりと実施していくということになります。

それから太陽光発電の廃棄についてのご指摘もございました。
これは放置や不法投棄に対する懸念というのはかなり出ておりまして、今年の7月から廃棄費用を外部で積み立てると、FITのお金をお支払いするときに源泉徴収してしまいまして、これを外部で積み立てるという仕組みを開始いたします。
これは、太陽光パネルの廃棄の際には、ここからきちんとお金を出していくということになります。

それから将来的には廃棄が出てまいりますので、太陽光パネルのリサイクルとかリユース、こういった技術開発もしっかり進めているところです。
これらの取り組みを進めることで、これは経産省がしっかりリーダーシップを取って、関係省庁とも連携しながらですね、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えています。

現状は、自治体の条例頼り

坂本祐之輔
2050年に再エネの割合を50パーセントにすることには理解ができます。
しかし、自然環境に与える影響に対してもしっかりと対処すべきと考えます。
FIT法、建築基準法、電気事業法、森林法、環境影響評価法などさまざまな法律が関連しますが、現状ではこれらの環境破壊を守るには自治体条例によることしか自衛することができない状況です。

政府は、自治体および一般住民からの情報提供に速やかに対応して、乱開発に対する改善指導、および認定の取り消しを確実に行うことが必要と考えます。

令和3年5月25日、参議院環境委員会の地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する付帯決議において、地球温暖化対策の推進にあたっては、国際的にも生物多様性の確保が喫緊の課題であることに鑑み、本法に基づく施策も含め、地域への再生可能エネルギー導入拡大により、自然環境及び生物多様性の価値を損なうことがないよう十分留意することとされています。

政府は、人手不足や体制が間に合わないというのであれば、地方自治体に権限を委譲して実効性を優先させる必要もあります。
地方の活性化を妨げるような開発には、国としてもしっかりと取り組んでいただきたいと思いますがいかがでしょうか。

新井(内閣府地方創生推進長)
お答えいたします。
委員ご指摘の再エネ拡大に伴います自然環境等への影響につきましては、再エネを導入する上で、自治体や地域住民の方々の理解を得ながら進めていくということが肝要ではないかと考えております。

令和3年6月に閣議決定されました「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」においても、地域資源を有効活用し、再生可能エネルギーを導入する等、脱炭素化の取組みを地方において積極的に推進していくことにより、地域経済の活性化や地域課題の解決の実現につなげるとされております。

内閣府といたしましては、自治体や地域の理解を得ながら、再エネの適正な導入を通じた地方創生と脱炭素の好循環の形成に向けて、経済産業省や環境省と関係府省庁とも連携しつつ取り組んでまいりたいと考えております。