風車騒音と健康被害
国会審議2023年5月16日より
川田龍平(立憲民主党・参議院議員)
風車音の睡眠影響と健康障害について質問します。
今、再エネ普及の柱として風力発電開発が行われ風車の大型化が進んでいます。
大型化で言えば陸上も以前は2メガワットだったものが4メガワットクラス。
また今後洋上風力は秋田で13メガワット山形で15メガワットの計画と超大型の傾向があり、洋上だと50基以上の計画が珍しくありません。
それに伴い風車からの騒音も大きくなると想定されています。
そこで低周波音を含む聞こえる範囲の風車層について質問します風車騒音については2017年の環境省指針にはこのようにあります。
「これまでに国内外で得られた研究結果を踏まえると風力発電施設から発生する騒音が人の健康に直接的に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる」
この指針により国や自治体事業者が風車層の健康影響を軽視してきたのではないでしょうか。
風車騒音については2016年元国立環境研究所主任研究員で現在大分看護科学大学の大学教授の影山隆之先生ほか国内1000人以上の疫学調査結果の論文が発表されています。
全国50か所被験者1079名について不眠症の有病率を調べ屋外相談レベル41から45デシベルの暴露で不眠症の有病率が約5倍になっておりますが、風車騒音によって明らかに深刻な睡眠影響不眠症が生じていることを示しています。
影山教授は睡眠への影響は直接的な健康への影響である。
また睡眠障害リスクの増大が示された騒音レベル41db以上にならないように離隔距離をとってすることが必要で重要と言及されています。
この2017年指針、「直接的に健康影響が生じる可能性が低い」というこの文言を見直すべきではないでしょうか?
安全な離隔距離を定めるべきと考えますが見解を伺います。
柳本(環境大臣政務官)
お答え申し上げます。
委員ご指摘をいただきました風力発電施設から発生する騒音に関する指針についてでございますけれども、騒音が頭痛、耳鳴り、高血圧、糖尿病等の直接的な健康影響を生じさせる可能性が低いことを表現したものとなっております。
なお睡眠影響については同指針では、騒音がそのリスクを増加させる可能性があると評価しているところでもございます。
以上の評価のもとに騒音の評価の目安となる指針値を睡眠影響を考慮して定めております。
環境省としては引き続き、騒音による影響の未然防止に取り組んでまいります。
その上で、環境省としましては、近年の風力発電施設の大型化や設置台数の増加の傾向も踏まえ引き続き風車騒音についての知見の収集に努めてまいります。
川田議員
次に風車騒音の規制値について伺います。
これ見ていただきたいんですが、日本の騒音規制の現状は残留騒音+5dbという指針値であり、この上限を定めたこのガイドラインや規制値がありません。日本だけないんです。
でこれ、デンマークでは42dB、イギリスでは+5dBのこの他に、上限規制として43dBを定めています。
これ欧州WHOの欧州地域事務局は2018年に風車騒音の勧告値を交付しています。
この日本でも現行の+5dBではなく、しっかりと上限を定めた規制値を定めるべきではないでしょうか、見解を伺います。
柳本(環境大臣政務官)
お答えいたします。
指針策定以降もですね、文献調査を行ってまいりましたけれども、風車騒音と健康影響の明らかな関連を示す知見は得られておりません。
繰り返しになりますけれども、環境省といたしましては近年の風力発電施設の様々な変化に応じまして引き続き、風車騒音についての知見の収集にまずは努めてまいりたいと考えております。
川田議員
これデンマークではこれ風車騒音のこの影響回避のために離岸距離12キロを取ったとされる実例があります。
秋田や山形の洋上風車計画の睡眠影響リスクについて北海道大学田鎖助教が発表しているこの風車騒音のシミュレーションソフトで試算すると山形県湯沢沖2kmに15MW風車が52基並ぶ現行の計画では250名が不眠症になると試算されます。
今こうした風車走行による健康被害の問題はされたままです。
昨年10月には名古屋大学の宮脇勝 准教授が欧米の洋上風力発電の離岸距離を示した。
論文を発表していますがドイツ、オランダ、ベルギー、英国では政府が海洋計画を策定し景観と生態系保護を目的に洋上風車の離岸距離として12海里、約22.2kmを基準にゾーニングしデンマークもバッファゾーンとしてこの12.5kmの離岸距離を確保しているとあります。
10メガワット以上の風車を離岸距離2kmに建設するという現在の計画は世界から見れば非常識です。
現行被害リスクを考慮し、離岸距離を確保すべきではないでしょうか。
大臣一言だけ。厚労省として規制値がない中で騒音影響を無視したままでは、この後多くの方に健康被害が生じます。
そして結局、地方に人が住めなくなります。大臣、これ大丈夫なんでしょうか
加藤勝信(厚労大臣)
相当する不眠症の問題など騒音が健康に与える影響については報告がございます。
厚労省が定める健康づくりのための睡眠指針2014では夜間の騒音は45から55db程度であっても不眠や夜間の活性が増加することを示しております。
また、この指針において周辺の音が睡眠には重要な環境因子であることから良い睡眠のためには気になることはできるだけ遮断するなど自分の睡眠に適した環境づくりも促しているところであります。
それによる、健康への影響を防止する取り組みは重要であります。
本年度に予定している睡眠指針の改正にあたっても音も含めた環境づくりについて検討を行う予定としており関係省庁とも連携しながらですね、そうした対応を図っていきたいと考えております。
川田議員
大変ありがとうございます。
ぜひこの睡眠障害についてですね。もっと積極的に厚労省から他省庁に働きかけて、この離岸距離をしっかり取ると。
浮体式でやればできますので浮体式で国際的標準の離岸距離22キロを取るべき。
そういったことを、ぜひこれから計画の中で、変更していただきたいと思います。
ありがとうございました。