田嶋要「森林法の法改正が必要」

2023年5月19日(金)経済産業委員会、田嶋要(立憲民主党)

再エネ問題は誰もが目の前の問題


田嶋要議員

よろしくお願いします。次の質問に移ります。
これは林野庁に今日お越しいただいておりますですね。なんですが、経産大臣、経産省もこれはクライアントは経産省なわけですね。クライアントということは太陽光を増やす、風力を地上の風力を増やしてやっていく中心は経産省になるわけなので、西村大臣ぜひお聞きください。

これ本当に今まで悩んできた問題であるし、与党も野党もこれはもう頭の痛い問題ですね。
原発のように遠くで知らないところでやっている話で、事故が起きても自分の地域じゃないというそういう感覚になりがちな話と違ってみんなNIMBYなんですよ。
みんなNIMBY。目の前に広がっている目障りな太陽光とかね、山肌が削られたてっぺんに風力が建つとか「いいかげんにしろ」という話は、もう日本中で起きているわけですから、その部分に関してずっと私も取り組んで苦しんできております。

なかなか解決策が基本的に、個人の土地所有権とか、そういう話にも入ってきて難しい感じもするんですが、まずその前に埼玉のアセスの問題がありまして、これは大規模なメガソーラーですが、参考人に来ていただいていますよね。

これは事業ステータスはこれは要するに問題だと言って初めて環境大臣が意見をしたというわけでありまして、このフロー資料をごらんいただきたいんですが、資料の配付資料の2でございますけれども、この配付資料の2の赤線を引いてあるところに環境大臣が意見をできる仕組みになっておるわけですが、この今プロジェクトというのはどういうステータスにございますか簡単に言ってください。

配付資料の2

経済産業省 辻元大臣官房技術総括保安審議官

お答え申し上げます。
委員御指摘の事業につきましては、令和2月、昨年の2月に事業者に対しまして環境大臣、埼玉県知事、一般の方々の意見も勘案して電気事業法に基づき、経産大臣から環境影響評価準備書の勧告を行っております。

具体的には、事業者の事業。切り土、盛り土に土地の改変。外部からの大量の土砂の搬入。大規模な森林伐採などの計画に対しまして、盛土による土砂災害の要素を軽減する地元の声などを勘案し、計画の抜本的な見直しや地域住民に対する丁寧な説明を行うということを勧告したところでございます。

現在のステータスでございます。
現在勧告を行いまして、1年3カ月が経過しておりますが、事業者からその次の段階でありますけれども、環境影響評価書等の提出されていないこういう状況でございます。

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経産大臣の変更命令により不適切な事業は止めることができる

田島議員

よかったと思ってます。
これで経済産業大臣、つまりですね、私、何となく環境アセスというのは、これは悪いプロジェクトをとめる力はないのかなというのがずっと私の認識だったんですけれども、このフローの一番最後のところで下線が引いてある、そうした環境省からの意見も含めて変更命令というのを環境大臣が出す。これは無限ループに入っていけるんですね。

だから、よくないものは実質的に断念させる力があるというふうに理解しておるので、もっと環境アセスの仕組みを経産大臣も意識を持って、そして環境大臣と連携しながら、あるいは地元の首長、県知事とも連携しながら、止めるものは止めるということで、私はやっていただきたいというふうに思いますが、それでお願いできますか。

西村経済産業大臣

まさにご指摘のように電事法で一定規模以上の太陽光発電設備の設置に際しては、地盤の安定性や希少な動植物への影響など、環境保全への適正な配慮を確保するため、経済産業大臣が必要な勧告をすることができる。

そして、その勧告に従う場合などをお示しいただいているとおり、必要があると認められる場合には評価書の命令変更を命ずることができるということでありますので、事業者が命令に従わず、電気事業に基づく工事計画を届け出た場合には、経産大臣としては評価書に従っていないということで計画が受理されないということであります。事業を開始できません。

ご指摘のようにこうしたこと、環境アセスについても十分目配りをしながら対応していきたいというふうに考えています。

田島議員

私の地元の千葉県も鴨川というところに、もっとでっかいのは日本最大と言われていますが、これも止めてますから、一生懸命止めてますから、地元と頑張って本当にどうしようもないのがたくさんある。

もう一つ申し上げたいのは、太陽光のこういう問題ケースはピークは過ぎていると私は思います。ある意味ね。
だけれども、陸上風力はこれからですからね。
だから改めて諦めることなく、いろいろな手を替え品を替えやっていただきたいというふうに思いますので、このアセスを有効に使ってほしい。

森林法の法改正が必要

田島議員

ただ、もう一つ私が長年悩んでいたのは、この森林法の部分でございますが、この森林法の10条の2というところ、配付資料の3をご覧ごらんいただきたいんですけれども、このところに「次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、これを許可しなければならない」という規定があるんですね。

配付資料の3

許可権者は県知事ですよ。そしてこうするとこの規定があるので、事業者から訴訟提起を恐れる都道府県の不許可処分が行いにくくなっていると。つまり「許可せざるを得ないんですよね」というふうに、県の職員が言い訳というか逃げというか、そういうふうに言っちゃうケースを私も何度も見ておりまして、そういう話をよく聞くんですね。
まぁ困ったものだな。仕方がないのかなと。

そこから先は私は知恵がありませんでしたが、最近、その有識者の団体の方々からもこの条文を少し変えるだけでも効果が出るということで提案をいただいておるのが次の問題意識ですが、まずこの不許可処分が出しにくくなっているという声は届いているんでしょうか?林野庁の副大臣。

野中農林水産副大臣

許可しなければならないということを明記しているのは、許可権者である知事が自分の権限の範疇を越えて主権をいたずらに侵害しない、そのために私どもは明記をしているところであります。

実際にせざるを得ないという県の声があるということですけれども、基準に合わない場合は不許可処分と実際にしている事例もございますので、都道府県が不許可処分を行いにくいという実態は私どもはないというふうに承知をしております。

法文の書きぶりで現場の意識は変わる

田島議員

私がずっとこの7〜8年間、いろいろなところから聞いている話とはずれていますね。
だからぜひもう一度改めてそういうヒアリングをしていただきたいというふうに思います。

それで今回、有識者も含めて提案が来ているので、私の方から申し上げたいんですが、今の10条の第2項の柱書きの規定は例えばですね、逆側から書く。
つまり「次の各号のいずれにも該当しないと認められない限り、これを許可してはならない」と、「許可してはならない」というふうに書くだけでも、やはり現場の人々の意識が変わってくるという提案をいただいております。

そこは林野庁の受けとめ違うかもしれませんけれども、これから山のてっぺんを破壊して風力をいっぱいつくる事例がこれから増えますから、そうですよね。だって風力発電をこれから力を入れるのが、洋上風力の方がポテンシャルは大きいかもしれないけれども、陸上だってこれから頭の痛いのがいっぱい出てくる。
洋上は住んでいる人いませんから、そこに。
だからそういう話でぜひ林野庁ね、これはこのままでいいんだって考えずに、ちょっともう一回、虚心坦懐にここの法文を変えるだけでもどうか。

「景観」「生物多様性」の明記が重要

田嶋要議員

それと連動して提案したいのは、次の各号の中の新たに今のこれは3までしかないですよね。それに4というのを加えていただいて、そこに例えば「生物多様性と景観の維持、その他の公益的機能を有する害するなど、森林法の目的に反するおそれがあること」というそのような一種、何というか、景観ということ、あるいは生物多様性ということを言葉にしていただくということも、私は大事かなというふうに思います。

事前のヒアリングでいやいや、この「環境」で全部含めているんだよみたいな話あったんですけれど、さらにそれを深掘りしていくと言ってみればガイドラインというんですか、そういうありますよね、マニュアルが。
その中でも明確にはなっていないということで、景観を重視するということは必ずしも強調はなされていないということであります。

そして今、申し上げたことを森林法の目的の部分でも景観形成というような公益的機能を明文化するという提案を私だけが言ってるわけじゃなくて、今、申し上げた有識者の団体からのご相談も受けて、今日この場でやらせていただくけれども。
これは私がもう長年この鴨川だけじゃなくて、長年いろいろなところで現場の皆さんが、もう手が出せなくて悔しいけれども環境破壊が進んでいるという事例が、全国にたくさんありますから。

林野庁には重い責任がある

田嶋要議員

そしてこれからも出てきますので、改めて林野庁には重い責任があるということです。
農地の方はで、その農地法とかでしっかり守られている部分があるのに対して、やはり森林の方はそこはやはり弱いのではないのかなという感じがするのですね。
ぜひそこはお願いをしたいというふうに思いますので、一言だけ頑張りますと言っていただきたいと思います。

野中農林水産副大臣

一言で申し上げますと田嶋先生と共有するところは、私どももむやみやたらな乱開発、林地開発というのは望んでおりません。
ですので、しっかりとしたルールに基づいて開発をしていただきたいというふうに思っております。

田嶋議員

それはそのとおりなんですが、ただね、現場の職員さんがそこがやれるかということなんですよ。
「訴えるぞ」とビビらせながらやられている可能性はありますよ。
そういうときに「いやいや、こういう風に、・・・でなければやってはいけない」と書いてありますと言った方がいい。「許可しなければならない」というと、やはりちょっと怖いと思いますよ。

こういう強い書きぶりはなかなかないという話も聞きました。法文としてね。
だから、些細なことに見えるかもしれないけれども、僕にはそこまで知恵がなかったけれども、今回そういうようなヒントを有識者からいただいたので、ああそうだと、長年苦しんでいた話と符合するので、きょう提案させていただきますので、ぜひそれをお願いしたい。

無関係ではない経済産業省

それから経産大臣ね、これは無関係の話じゃない。
当然ですけれども、経産大臣が推進する風力の話ですから。
これはぜひ中身をちょっと考えていただいて、さっきの部分は単なる例示でありますので、経産省も力を貸してくださいよ。どうですか。これこれから地域の理解を得ながら、風力発電も、そしてもちろん、太陽光もこれからだって広げていかなきゃいけないわけですから、重要なことだと思います。
何か森林法の関係でできないか経産大臣の力を借りたいと思いますが、いかがですか。

西村経済産業大臣

再エネ特措法では、現在も関係法令の遵守を求めているところでありますし、関係省庁と連携して議論も進めております。
ご指摘の森林法に基づく林地開発許可などの土地開発に関する許認可については、認定申請前の取得を求めるなどの対応を省令改正で本年夏ごろまでに具体化をしたいというふうに考えております。

ご指摘のように洋上風力も進めたいと思っておりますが、欧米で見ますとやはり平地にたくさんつくっているんですね。私も今回ヨーロッパずっと視察をしてきましたけれども。
日本の場合はなかなか適地がないということで、山を開発して、私の地元、淡路でも山の上につくっておりますけれども、やはり環境との関係、それから地元住民との関係などもあって、なかなか難しい部分もあります。

今、野中さんから答弁がありましたけれども、まさに乱開発とならないように環境保全、そして地域との共生をした形でぜひ進めていきたいというふうに考えております。

田嶋議員

法令遵守は当然なんですけど、みんな多分同じ問題意識を持ってて。みんな頭いたいなと思っているんだけれども、進めないわけにもいかないんですから。
ぜひもう一度その法律自体の書きぶりを変えることによっていい効果が生まれる可能性だってあるわけですから、法改正も含めて僕らも考えなきゃいけないけれども、ぜひ経産省にも関心を持っていただいて、この森林法ということに関して注目をいただきたいというふうに思います。
ありがとうございました、以上です。