石川和男の危機のカナリア(3)「高値で売買されているFIT認定ID」

未稼働案件なのに新制度が適用されない?!

大浜平太郎(司会)
環境のためにと思って始めたのに、環境破壊が進んでいるというその危機感だと思うんですけど。
先ほどの買い取り制度の話ありましたけど、ちょっとご覧いただきたいんですけど、制度変わりますよね、これから。4月から変わったのかな。
もともとはFIT(フィット)って言って、いわゆる固定価格で買い取りますよってことやってたのが、そうじゃなくて発電してもそれをマーケットで売買してもらって、その分にプレミアムをつけますよと。場合によっては損することもありますよってことで、この制度になると、いわゆる「もうとにかく作ればいい」みたいな、そういう作り方ってもしかしたら減るんじゃないかなと、個人的に思ったりしているんですけど。

石川和男
はい、これは非常にいい改革なんですよ。
ところが実はですね、太陽光というのは、皆さん勘違いするんですけど「太陽光安くなりました」と、こう言うんですけど、それは2012年にこの制度始まったんですけど、2012年当時は高い買取値段のやつ。これを20年間続ける。で、13年14年。この12年〜14年までこの3ヶ年が、いわゆる冒頭で言った「再エネバブル」期間だと私は思っていて、ものすごく世界的に高い買取期間のものが、そこからカウントして20年間なので。
こういう改革が大事なんですけど、これはあくまでも新規案件で、そういう意味で言うと、今までの累積。2012年の最初のこう言っちゃなんだけど世界的に信じられない高値のやつが20年間続いて13年、14年、続いて、ついでに言うとまだ未稼働案件があるので・・・。

大浜
それがおかしい。
今までのものをこっちに移すってことはできないんですか?

石川
できません、これ(FIP)は新設のもの。
この改革自体はいいんですよ。これから新しいことをやるときには、あっち(FIT)じゃなくて、こっち(FIP)。これはいいんだけど、ねぇ竹内さん、だから2030年代の後半までこれ高値は続いちゃうんだよね。

最初の3年で賦課金の6割を消耗

竹内純子(NPO法人国際環境経済研究所理事)
そうですね。今、FIT制度の賦課金の総額が年間に2.5兆円とか、それくらいになってきているってのは皆さんご承知だと思うんですけれども、何が問題って、やっぱりこの制度ができた時の最初の3年間ぐらいで、総額の大体6割ぐらいを持っていっちゃっている。
だから、最初にいかに甘い制度をつくってしまったかで、そこはもう戻れない。要は新しい制度は変えられるけど、古いものを遡るとすると多分、訴訟とかになるだろうというようなこともあって、なかなか変えづらいと。

石川
それで今、竹内さんに言ってくださった再エネ賦課金というやつは、当時、これを作った時の海江田経済産業大臣の有名な国会答弁というか、記者会見でもおっしゃったんですけど「いや、これ月々の再生エネルギーの賦課金の負担は500円ぐらいなので皆さんコーヒー1杯ぐらいですね」って言ったんですけど。
ちなみに我が家の再エネ賦課金は、一部事務所も兼ねているので普通のご家庭よりは多少電気は使っているんですけど、先月、私3,300円ですよ。

竹内
皆さん電気代の多分10%ぐらい、一般のご家庭で年間で1万円超えるぐらいですかね。

企業の負担も、最終的には国民の負担

山口雅之(全国再エネ問題連絡会共同代表)
私、この国民負担というのが正確性に欠けるのかな。国民負担が2.7兆円ですかね、公表されたのが。
これで一般平均家庭で年間1万円少しと言われているんですけれども、この2.7兆円の中には事業者も入っているんですね。中小企業を含め企業が入っていると。
要は直接的な負担は1万円少し、しかし、間接的には事業者が支払っている分の負担も、最終消費者の国民が負っているという認識を改めてご認識される。皆様方には、ぜひそのような視点で見ていただきたいなと思います。

大浜
だから、なおのこと、さっき石川さんが言っていたように、まだ稼働して発電もできていないものであったり、山口さんおっしゃるように、明らかに環境破壊につながっているようなものに関しては、せめてこの買い取り制度は変えますよみたいなことを、何か新しくする仕組みって作れないんでしょうか。

石川
一応、まだ稼働していない案件は、FITってのは事業用だと20年あるんですけど、あんまり遅いとけしからんってことで、政府の方も重い腰を上げてもう短くしますよと、20年間の買い取り額をもっと短くしますよとか、あるいはひどい時には「あんたダメ」みたいに取り消すっていうそういう制度は一応設けてはいるんですけれども、実際の行政現場で、許認可を得たものに対して「あんたダメ」ってのは、これはね経済産業省の担当者の皆さんも相当頭を抱えているところなのかなと。

山口
一番国民の一人として納得できないことは、例えばFITのIDですね。
これが2012年13年当時そうですけど、要は行政からその認定を受ける必要コストというのは本当に微々たるものですよね。それが現状においては何億何十億という世界で売買されていると。国の制度が売買されている。
それの原資は、私たち国民の一人一人の賦課金で成り立っている。ここにその政策上、納得ができない。国民の一人として納得できない理由はそこにもあります。

石川和男の危機のカナリア(1)「太陽光頼み 死角だらけ」
石川和男の危機のカナリア(2)「メガソーラーは迷惑施設?!」
→ 石川和男の危機のカナリア(3)「高値で売買されているFIT認定ID」
石川和男の危機のカナリア(4)「法定買取期間を延長しないと目標達成は無理?!」

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